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コツの要らないパラフイン包埋法
西本 和夫
1
1広島大学医学部生理学教室
pp.190-191
発行日 1958年3月15日
Published Date 1958/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905451
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序
組織片をパラフインに包埋する際,従来一般に行われて来た方法(緒方知三郎編,病理組織顕微鏡標本の作り方手ほどき,P.35〜40,南山堂,東京)によると,パラフインが固まつた後,主として組織片の周囲に海綿状乃至雲状の白色不透明部分が出来て薄切上不都合を来すことが屡々あるが,誰でも組織をやつた程の人は,初のうち,このことで泣きたい様な思いをされた経験があるだろうと思う。私も初心の頃(と云うと大家の様に聞えるが)屡々,上述の失敗をくり返えし,しかも,その原因を摑み得なくて,失意と腹立ちとの混じた様な,えも云われぬ不愉快な気持ちのまま寝に就いた経験をもつている。そのうち,ふとした事から後述の様な考えを持つに至り,思いついた方法を実行した所,我ながら驚く程の好結果を招く事が出来たので,その方法について若干述べてみたいと思い寄稿した次第である。
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