技術解説
光電比色計による分析法の基礎
松村 義寬
1
1東京女子医科大学生化学
pp.11-16
発行日 1957年4月15日
Published Date 1957/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905314
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呈色反応
臨床生化学部門において今日最も数多く行われる分析手段は表題にかかげた光電比色計を利用する比色分析法である。臨床分析では正しいデータを迅速に供給して患者の時々刻々の状態を適切に迫求することにより,診断と治療に役立たねばならない。この点から極めて僅かな検体を用いて,簡便な操作でしかも正しい結果を得るためには比色分析法は優れており,光電比色計で結果を読みとるのは客観的な数字を与えるのであるから,分析者の習熟度が余り問題にならないので極めて信頼のおける手段となつたのである。
比色分析の根本は呈色反応である。最新の進歩した機器を用いる場合は,化学的前処理は大いに簡略化する事が出来るようになつたのであるけれども,旧来の肉眼的比色法を用いる場合には影響のなかつたような種々の条件が精巧な器械を用いて分析する場合には大きく結果を左右するような事も見られるようになつた。たとえば発色温度や,水素イオン濃度,ことに試薬の純度,濃度,反応時間等における僅かな変化により結果が著しく変動することのある事も知られている。
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