今月の表紙 電気泳動異常パターンの解析シリーズ・6
腎糸球体に沈着する構造異常を示すBence Jones蛋白
藤田 清貴
1
Kiyotaka FUJITA
1
1信州大学医療技術短期大学部衛生技術学科
pp.590-592
発行日 2002年6月15日
Published Date 2002/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905112
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一般に,良性M蛋白といわれるMGUS (mon-oclonal gammopathy of undetermined signifi-cance)は,多発性骨髄腫や原発性マクログロブリン血症などの悪性M蛋白と異なり,MGUSそのものは治療の対象とはならない.しかし,M蛋白が微量でもM蛋白が腎糸球体に沈着し,糸球体の結節性病変と蛋白尿,腎機能障害を惹起する場合がある.
図1に70歳,男性のセルロースアセテート膜(Separax-SP膜)電気泳動パターンを示す.症例1)は顔面,下肢の浮腫を訴え,精査のため入院した患者であるが,入院時の主な検査成績ではM蛋白など異常バンドは全く観察されなかった.尿素窒素,クレアチニンは基準範囲内であったが,総蛋白(4.6g/dl),アルブミン(2.5g/dl)は低値を示した.免疫グロブリンの定量ではIgG(1,130mg/dl),IgM (166 mg/dl)は基準範囲内,IgAは449 mg/dlと軽度増加を示した.尿潜血反応は2(+),蛋白尿は約6g/dayであった.尿中Bence Jones蛋白(BJP)の検出を熱凝固試験のPutnum法で行ったところ陰性であった.しかし,血清および40倍濃縮尿を用いた免疫固定電気泳動法ではfast-γ位に微量なχ型BJPが検出された(図2).
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