今月の主題 検査領域でのリスク・マネジメント
巻頭言
検査領域でのリスク・マネジメント
菅野 剛史
1
Takashi KANNO
1
1浜松医科大学・附属病院
pp.1619-1620
発行日 2001年12月15日
Published Date 2001/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904991
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リスク・マネジメントは,組織体での「事故」に対する対応とその管理機構を示すものと考えられる.卑近な例がY乳業での安全管理とそれに対する対応の問題,M自動車のクレーム隠蔽事件と管理体制,米国でのタイヤ事故とその対応など,いずれも安全管理上の問題が,組織体の管理機構の甘さから,事故につながっていった事例として考えられる.一方,医療の領域でも「医療事故」と考えられる事故が,それなりに報道され国民の関心を引いているが,報道が大大的であること,報道内容からは医師がパターナリズムにあぐらをかいた独裁者的な扱いを受けたり,医療の密室行為が非難されたり疑いを前提とした内容には,医療人の真摯な取り組みが無視されているような気風さえ感じられてならない.
しかし,事故は事故である.どのように事故を回避し,完全に根絶するかは不可能であるかも知れないが,医療の現場で,安全対策の手順が明確にされ,それを遵守する姿勢は,必ず事故を回避し,患者さんが致死的な状態や,後遺症を残すような事例に陥ることを避ける第一歩であると確信するものである.事故を未然に防ぐために「事故は起こりうる」ことを前提として,医療行為の各段階を,どのように点検しながら次の段階に進むかを手順として明確にし,さらに点検が不十分な場合には先へ進んではいけない手順書を,各人が遵守することが重要であり,かつ手順書の作成が重要である.
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