特集 臨床検査の新しい展開―環境保全への挑戦
序文
環境と臨床検査
菅野 剛史
1
Takashi KANNO
1
1浜松医科大学臨床検査医学
pp.1195-1196
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904207
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臨床検査は病院における診療に寄与する検査技術を中心にして発展してきたし,さらに今後も発展して行くべきである.しかし,医師,検査技師として教育された内容を,習得された技術を考えるに国民の健康を保持し発展させる目的のために,さらに活用されるべきと考える.確かに,検査領域で教育を受けた人たちが,健診の領域でも活躍しているし,保健行政の中でも活躍している.しかし,環境をめぐる問題は,健康を保持し発展させるためにもう一つのターゲットとして考えるべきではないかと考える.その意味で今回の特集を考えてみたい.
生活環境が,いろいろな物質で汚染されかかっているし,汚染されている.湖水が,海水が生活排水で汚染されてきており,その浄化が大きな話題となっている.たまたま,世界臨床病理会議でペルーのチチカカ湖を訪れる機会があったが,この世界一大きい,世界一標高の高い湖でも,ホテルに面した船着き場の辺りの水は大変濁っていたし,10分ほど舟を走らせて,ようやく水が澄んできている現実をみて,ここまでもと驚かされた記憶がある.しかし,チチカカ湖の夕暮れは素晴らしいし,ここで生活している浮島の人たちの素朴な生活は,さらに素晴らしい.そこには自然が溢れている.
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