特集 超音波検査の技術と臨床
Ⅰ.基礎
2.新しい手法
6)硬さの評価法(1)組織弾性イメージング
椎名 毅
1
Tsuyoshi SIINA
1
1筑波大学電子・情報工学系
pp.1225-1227
発行日 2001年10月30日
Published Date 2001/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904910
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組織弾性計測の意義
癌などの組織病変を伴う疾病の初期においては,マクロな形態的変化の前に,組織の組成や微細構造のミクロな変化が生ずることが期待される.このような組織の質的な変化を捉えて診断情報として利用しようとする考えは組織性状診断あるいはtissue characterizationと称される.
組織性状を表す特徴量のなかでも,組織の硬さすなわち弾性は,組織の組成や構造に依存するため,筋組織や脂肪などの組織間で異なるのは言うまでもないが,同種の組織でも疾病によりもたらされる組織性状の変化を,組織の形態的な病変を生じる前に敏感に反映すると考えられる.このため,組織弾性は癌などの早期検出に有用な診断情報となることが期待できる.実際,図1のように癌腫瘤の多くは正常組織に比べて,硬さが増加することが知られている.触診は,主としてこの情報を触知して病巣を検出するものと言えるが,微小な腫瘍や病巣が深在性の場合は非蝕知となるため,適用範囲は限定される.
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