コーヒーブレイク
小さなホワイトハウス
寺田 秀夫
1,2
1聖路加国際病院内科
2昭和大学内科
pp.766
発行日 2001年7月15日
Published Date 2001/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904817
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1998年秋私は幸運にもジョージア州(Georgia State)のWarm Springsにある小さなホワイトハウスを訪れる機会があり,初めて知った多くの事実に強い感銘を受けた.第32代大統領フランクリン・デエラノ・ルーズベルト(Franklin Delano Roosevelt 1882~1945)が1924年に初めてこの地を訪れ,幼い頃罹患した小児麻痺による不自由な身体の治療のために,この地にある自然の温泉と荘厳な高い樹木に囲まれた森を非常に気に入って,丘陵の北側斜面に素朴な小山屋を建てたのである.その後,彼はワシントンでの激しい政務に疲れると,Warm Springsに戻り温泉で身体を休めた.そして,精神の疲れを回復させてワシントンに戻り,有名なニューデイル政策を敢行して,当時の経済的大恐慌を切り抜けた.また,4回も大統額選挙にチャレンジするとともに,この小さな山荘に小児麻痺の子供たちを招いたり,また,小児麻痺患者の治療や医学研究のための財団を設立するとともに,医学的・職業的リハビリテーション設備をつくり,今でも毎年3,000人以上の人たちが利用しているといわれる.
現在ポリオによる小児麻痺の発症は日本で皆無に等しく,東南アジアの一部にしかみられない.
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