今月の主題 イオンチャネルの変化と心臓
症例
Brugada症候群
笠巻 祐二
1
Yuji KASAMAKI
1
1日本大学医学部第2内科
キーワード:
Brugada症候群
,
特発性心室細動
,
意識消失発作
Keyword:
Brugada症候群
,
特発性心室細動
,
意識消失発作
pp.648-652
発行日 2000年6月15日
Published Date 2000/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904416
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心室細動は心臓突然死の原因として極めて重要な不整脈であり,多くは虚血性心疾患や心筋症などの器質的心疾患に合併するが,特発性心室細動のように明らかな器質的心疾患を認めない例も存在する.1992年Brugadaら1)が,安静時の12誘導心電図上,不完全右脚ブロックと右側胸部誘導でST上昇を示し,心室細動発作をきたした8例をBrugada症候群として報告して以来,本症候群が特発性心室細動を構成する疾患群の1つとして注目されている.
最近,Brugada症候群の病因について,遺伝子異常がChenら2)により報告された.すなわち,Naチャネルの機能と関係するSCN5 Aの変異が認められ,この遺伝子変異が心電図に特徴的な変化をもたらすと報告した.もし,SCN5 Aの変異が本症候群に特異的なものであれば,将来,Brugada型心電図のみを示す場合のハイリスク群の鑑別に遺伝子診断が有用となる可能性もある.また,Brugada症候群は日本をはじめアジア地域において高い発生率を示すことが知られており,わが国からも多くの論文が発表されている.ここでは,"イオンチャネルの変化と心臓"にかかわる症例として意識消失発作と心室細動を認めた本症候群の1例を呈示し,心電図所見を中心に解説する.
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