今月の主題 海外旅行と臨床検査
総説
深部静脈血栓症・肺動脈血栓塞栓症の病態(旅行血栓症,エコノミークラス症候群も踏まえて)
山田 稚子
1
,
村田 満
1
Wakako YAMADA
1
,
Mitsuru MURATA
1
1慶應義塾大学医学部臨床検査医学
キーワード:
深部静脈血栓症
,
肺血栓塞栓症
,
旅行血栓症
Keyword:
深部静脈血栓症
,
肺血栓塞栓症
,
旅行血栓症
pp.1233-1237
発行日 2006年11月15日
Published Date 2006/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100750
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
近年,深部静脈血栓症・肺血栓塞栓症の発症頻度は著しく増加傾向にある.その要因には生活の欧米化や高齢・肥満人口の増加などが挙げられ,長時間の飛行に影響するエコノミークラス症候群が取り上げられたことにより注目されている.わが国では,肺血栓塞栓症を発症した場合の死亡率は14%で,特に重症例では30%になると報告された1).また,急性肺血栓塞栓症の原因の90%以上は下肢あるいは骨盤内に形成された静脈血栓であることが知られている.血栓形成の危険因子には手術,外傷,血栓性素因などの多数の要因がある.血栓形成の危険因子が重複しやすい病院内での発症も近年増加傾向にあり,わが国においても院内発症例に対する適切な対応,予防が今後重要な課題である2).〔臨床検査 50:1233-1237,2006〕
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.