今月の表紙 血液・リンパ系疾患の細胞形態シリーズ・23
反応性リンパ球増多症
前田 隆浩
1
,
栗山 一孝
1
,
朝長 万左男
2
Takahiro MAEDA
1
,
Kazutaka KURIYAMA
1
,
Masao TOMONAGA
2
1長崎大学医学部附属原爆後障害医療研究施設分子医療部門分子治療研究分野
2長崎大学医学部附属原爆後障害医療研究施設
pp.1442-1443
発行日 1999年11月15日
Published Date 1999/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904244
- 有料閲覧
- 文献概要
反応性リンパ球増多症とは末梢血液中にリンパ球が非腫瘍性に増加する病態を指し,原因としては各種ウイルスなどの感染症のほか,心疾患・自己免疫疾患・慢性炎症・悪性腫瘍などの疾患に併発したもの,臓器移植後の移植片対宿主病(GVHD)に関連したもの,薬剤性,アレルギー性,さらには喫煙・ストレスなど環境に関連したリンパ球増多症など多岐にわたる.
1例目は発熱を主訴に来院した伝染性単核球症の症例(16歳,男性)を示す.全身の表在リンパ節の腫脹と肝脾腫があり,生化学検査では肝機能異常を認めた.末梢血白血球数は26,800/μ1と増加しており,リンパ球の割合は77%でT細胞がほとんど占め(CD3陽性細胞;95.8%),CD8陽性リンパ球優位であった(CD4/CD8≒0.21).この症例では図1に示すようにさまざまな形態をした異型リンパ球が観察された.Downeyは異型リンパ球を形質細胞様,単球様,芽球様の3型に分類したが,概して正常リンパ球に比し大型で細胞質は好塩基性が強く,ときに空胞を認める.核クロマチンは粗大顆粒状もしくはやや繊細で核小体を認めることもある.
Copyright © 1999, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.