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膵β細胞とチオレドキシン
堀田 瑞夫
1
,
宮崎 純一
2
1大阪大学医学部分子防御医学講座/加齢医学講座
2大阪大学医学部分子防御医学講座/分子防御医学講座
キーワード:
1型糖尿病
,
酸化ストレス
,
自己免疫
Keyword:
1型糖尿病
,
酸化ストレス
,
自己免疫
pp.808-809
発行日 1999年7月15日
Published Date 1999/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904131
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1型糖尿病は,今日生活習慣病として扱われることの多い2型糖尿病とは異なり,若年齢で発症することが多く患者の生命維持のためにインスリン注射を必要とするタイプの糖尿病である.その病理学的特徴として,まず膵島に免疫細胞が浸潤する状態(膵島炎)が観察される.次に,膵島細胞の中でも特にインスリンを分泌するβ細胞が選択的に傷害されていくため,ついにはインスリン分泌不全をきたすものと考えられている1).
従来より,膵β細胞では抗酸化ストレス蛋白であるSOD (super oxide dismutase)やカタラーゼなどの発現レベルが低く,酸化ストレスに弱いことが示唆されていた.さらに近年,1型糖尿病における膵β細胞傷害のメカニズムに,免疫細胞およびこれらの細胞の放出する細胞傷害性サイトカインの刺激によって産生される活性酸素やNO (nitric oxide)などの酸化ストレスが重要な役割を果たしている可能性を示唆する報告が数多くなされている2)(図1).
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