コーヒーブレイク
シネマにふける
屋形 稔
1
1新潟大学
pp.711
発行日 1999年6月15日
Published Date 1999/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904111
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昨年は黒澤明,三船敏郎はじめ戦後日本映画を世界的に高めた人々が相次いで死去し,一時代の終わりを感じさせた.「サヨナラ,サヨナラ,サヨナラ,またお会いしましょう」の淀長さんも逝った.戦前から映画好きでは人後に落ちなかったわが身を振り返ると,大きな楽しみをもらった映画と映画人には感謝に堪えぬものがある.
心に残る映画というのは多分に当方の受け入れ態勢によることが多く,たまたまマッチして心情に染み込んだものが多い.ジャリ(腕白)時代に観た大河内伝次郎主演の「丹下左膳」や「国定忠次」などには文句なしに吸い込まれ,3分の2世紀たった今も燦然と輝く日本映画の傑作と思わざるを得ない.京都嵐山付近に残る大河内山荘を訪れたときは懐旧の情に涙がこぼれるほどであった.
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