シネマ解題 映画は楽しい考える糧[50]
「ニュー・シネマ・パラダイス」
浅井 篤
1
1熊本大学大学院生命科学研究部生命倫理学分野
pp.695
発行日 2011年8月15日
Published Date 2011/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102275
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ノスタルジーと映画への愛に溢れた名作
本連載第50回の節目に,「ニュー・シネマ・パラダイス」を取り上げます.第二次大戦後のイタリア・シシリーの貧しい村にある映画館を舞台にした物語で,トルナトーレ監督の分身ともいえる少年トトの成長を,映画技師アルフレードとの交流,母親との生活,転校生エレナとの初恋を,数々の名作映画と織り交ぜて描きます.観る者は深い郷愁とともに,映画への溢れるような愛も感じるに違いありません.「映画の楽園」というタイトルにふさわしい内容です.
村を出たトトは映画監督として成功し,ローマで豊かな生活を送っていました.ある日疎遠にしていた母親から電話があり,子ども時代にいつも一緒だったアルフレードが死んだことを知らされます.そして30年の間一度も帰ったことのなかったシシリーの村に向かいます.生まれ故郷でトトは何を思い出し,何を発見するでしょうか.アルフレードはトトに,彼にしか遺すことができない素晴らしい贈り物を残していました.40代でまだ独身らしいトトも,何が今,自分にいちばん必要なのかを知るのです.
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