今月の主題 蛋白尿の病態解析
巻頭言
蛋白尿の成り立ち
伊藤 喜久
1
Yoshihisa ITOH
1
1自治医科大学臨床病理学教室
pp.1075-1076
発行日 1998年10月15日
Published Date 1998/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903852
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尿中に存在する蛋白は200種類を超えるとされる.尿電気泳動法による分析からも明らかなように,主要成分は血液由来であり,これらは分子サイズから,低分子蛋白(分子量67,000未満),中分子蛋白(67,000以上400,000以内),高分子蛋白(400,000以上)に分類される.ここに,腎臓から尿道口に至る腎尿路生殖組織からの産生,分泌,ときに糞便や異物などの混入も含めた成分が加わり尿蛋白が構成されている.
血液由来の蛋白の腎臓におけるhandlingは,主にフィルター組織である腎糸球体と回収組織である近位尿細管細胞による.糸球体は毛細管の血管ループであり,糸球体壁は,血管内腔から内皮細胞,糸球体基底膜,上皮細胞から成り,高い動脈圧により,血中成分はここを通過して受け皿であるBowman嚢に濾過される.糸球体壁の機能的なpore sizeは直径約4nm,陰性に荷電しており,血管壁が総体として機能して,主に低分子蛋白を容易に通過させる選択フィルターとしての役割を果たす(選択的透過機能).
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