特集 神経系疾患と臨床検査
Ⅴ.神経病理
1.筋肉
2)筋疾患と染色
鹿島 廣幸
1
,
川井 充
2
Hiroyuki KASHIMA
1
,
Mitsuru KAWAI
2
1国立療養所下志津病院臨床検査科病理
2国立療養所下志津病院神経内科
pp.1501-1504
発行日 1997年10月30日
Published Date 1997/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903535
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はじめに
骨格筋の病理診断は凍結切片からほとんどの情報が得られる.組織化学や免疫組織化学染色が診断上重要な位置を占めるからである.ホルマリン固定パラフィン切片は進行した筋ジストロフィーなど脂肪組織が多いため凍結切片が得にくい場合,血管の変化,アミロイド沈着など間質の変化が重要な場合は診断に不可欠である.電子顕微鏡での検索が重要な場合もある.いずれにせよ,凍結ブロック作製を最優先すべきであるが,検体量に余裕がある限り初めからパラフィン切片用,電子顕微鏡用のブロックも作製し,あらゆる検索上の必要性に答えなければならない.また筋は方向性のある臓器であることを忘れてはならない.診断のためには筋線維の走行に垂直な切片が必要である.さもないと筋線維の大小不同など筋線維の径に関する情報が失われてしまうだけでなく,連続切片にさまざまな染色を行い,特定の筋線維に現れた所見を多角的に検討することができなくなる.通常,切片の厚さは10μmである.本稿では,われわれが日常的に実施している凍結標本の染色の意義について述べ,正常所見と代表的な病理像を解説する.具体的な染色法は文献2)を参照されたい.
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