特集 神経系疾患と臨床検査
Ⅱ.免疫
3.髄液の免疫学的検査
荻野 裕
1
,
斎藤 豊和
1
Yutaka OGINO
1
,
Toyokazu SAITO
1
1北里大学東病院神経内科
pp.1330-1334
発行日 1997年10月30日
Published Date 1997/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903488
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はじめに
中枢神経組織,脳・脊髄神経根や髄膜など脳脊髄液に接した部位の病変を反映して,髄液にはさまざまな変化が観察される.特に脳,脊髄には血液―脳や血液―脊髄関門が存在し,血中の抗体やリンパ球が自由に通過できないために,脳,脊髄は免疫学的には隔離されたものと考えられてきた.しかしながら,近年はウイルスや細菌感染に対する防御反応は他の組織のそれと本質的には変わらないとされ,全身的反応が脳脊髄液にも反映されることが明らかとなった.しかしながら,脳脊髄組織内で起こった反応は当然,脳脊髄液に直接敏感に反映され,その分析の重要性は他臓器のそれと全く変わらない.髄液を介して免疫異常を検討する場合,現在では免疫グロブリン,オリゴクローナルバンド,髄鞘塩基性蛋白などとともにリンパ球やサイトカインの分析が重要であるが,後者については他稿で詳細に取り上げられるので,本稿では前者を中心に述べることとする.
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