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I.はじめに
食物摂取は,生物の基本的欲求である食欲に基づいた行動である。摂食行動の障害はさまざまな精神的,栄養学的異常をもたらし,ひいては生命維持にも支障をきたす。食物摂取は,随意的には嚥下によって終了する。嚥下とは咀嚼運動で開始され,狭義の嚥下(初期は随意運動,終期は不随意運動)で終了する,複数の神経系による統合運動である(図1)。すなわち,神経系を障害する疾患はすべて嚥下障害をきたしうるとしても決して過言ではない。Ekbergら1)の嚥下障害患者854例での検討では,80%以上の症例で何らかの神経筋異常が示され,残りの20%はwebや憩室などいわゆる器質的異常が確認されたとしている。
神経疾患のうちでこの嚥下障害がとくに問題となるのは,進行性の経過をとる神経および筋の変性疾患である。最近,長期療養患者の生活の質の向上を目的とする在宅ケアシステムの推進が検討されてきているが,在宅ケアを行なううえでも進行性の経過を示す変性性神経筋疾患は,人工的な栄養管理の開始時期,栄養方法の選択,微量栄養素もしくは微量金属の補給,栄養状態の管理などが問題となってくる。本稿では,現在われわれが行なっている嚥下障害に対処するためのさまざまな栄養法,栄養管理法と,最近積極的に導入している経内視鏡的胃瘻増設術について述べる。
There are multiple many kinds of nervous system that concerned in swallowing. So, the swallowing disturbance appears as a great problem in the patients with the degenerative neuromuscular disorders. How to feed these patients is an important practical problem. The usage of the glutinouser is the first step for solving that ploblem. The nasogastric tube has generally been used for the patients with swallowing disturbance, but acompany some disadvantages for prolonged feeding because of complica-tions such as aspiration pneumonia, mucosal damage or otitis media.
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