今月の表紙 深在性真菌症の臨床検査シリーズ・5
酵母様真菌による感染症(3)―酵母の形態学的,血清学的および分子生物学的性状検査
山口 英世
1
,
内田 勝久
1
,
槇村 浩一
1
1帝京大学医真菌研究センター
pp.974-975
発行日 1997年9月15日
Published Date 1997/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903410
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前号で述べたように,臨床検体から分離される酵母菌株の菌種同定は,現在主として生化学的性状に基づいて行われる.しかし,特定の菌種については,特徴的な形態学的性状や血清学的性状が同定のうえできわめて有用である.
特徴的な形態学的性状としては,①仮性菌糸形能,②厚膜分生子(厚膜胞子)形成能,③発芽管形成能,④分節型分生子(分節胞子)形成能,⑤莢膜保有能などが挙げられる.なかでも②,③はCan-dida albicansに,④はTrichosporon beigeliiそのほかのTrichosporon spp.に,⑤はCryptoco-ccus neoformansに各々特異的であり,各菌種の同定の有力な指標となる.ただし,②については,この能力を欠くC.albicans臨床臨床分離株が少なくない点は,留意しなければならない.またそうした分生子の形成を十分支持する培養条件(例えば,コーンミール寒天)を用いて試験する必要があることは言うまでもない.図1にC.al-bicansの厚膜型分生子形成像を,図2にT.beigeliiの分節型分生子形成像を,図3にCr.neoformansの莢膜像を示す.
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