今月の表紙 深在性真菌症の臨床検査シリーズ・8
二形性真菌による地域流行型感染症(2)
山口 英世
1
,
内田 勝久
1
,
槇村 浩一
1
1帝京大学医真菌研究センター
pp.1712-1713
発行日 1997年12月15日
Published Date 1997/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903585
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3.Histoplasm capsulatum
本菌は日本国内には生息しないものの,アメリカ大陸の流行地域(endemic area)で感染を受けた後にわが国に帰国(または入国)した人を中心に十数例の感染例が報告されており,その中には米国人感染者から提供された腎の移植を受けて感染した例も含まれている.H.capsulatumの取り扱い危険度は,Coccidioides immitis (コクシジオイデス症の原因菌)についで高いとされ,まれではあるが実験室内感染例も報告されているので,検査室では注意して取り扱う必要がある.ヒストプラスマ症の診断には,皮内反応や血清学的検査も有用であるが,診断を確定するには,原因菌の分離・同定が不可欠である.
H.capsulatumは発育速度が遅く,SDA,PDAなどの通常の真菌用培地に25~30℃で培養すると,2週間以上かかって表面が白色~褐色,細く密生した綿毛状のコロニーをつくる(図1).一方,血液添加または無添加のハート・インヒュージョン(BHI)寒天に35~37℃で培養した場合には,発育はより良好となり,湿潤した白色の酵母様コロニーをつくる(図2).
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