今月の表紙 深在性真菌症の臨床検査シリーズ・4
酵母様真菌による感染症(2)―生化学的性状検査
山口 英世
1
,
内田 勝久
1
1帝京大学医真菌研究センター
pp.848-849
発行日 1997年8月15日
Published Date 1997/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903382
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真菌症患者から分離される真菌が,少なくとも酵母であるか否かは,直接鏡検での形態学的特徴や,分離培地上の発育コロニーの性状から判明する.また前号で述べた鑑別培地を使用すれば,コロニーの色調などからある程度菌種を推定することができる.しかし酵母菌種を確実に同定するためには,分離菌の純培養を用いて培養検査を行わなければならない.
一般に,真菌における菌種同定の主な指標となるのは,形態学的性状と生理学的(生化学的)性状である.酵母は,糸状菌とは対照的に形態学的特徴に乏しいところから,Candida albicansにみられる厚膜分生子形成能や発芽管形成能を除けば,菌種同定に役だつほどの形態学的特徴はどの菌種にも見当たらない.また血清学的特異性(抗原特異性)も菌種同定に利用されるが,その適用範囲は一部の菌種に限られる.
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