特集 血栓症と血小板凝固線溶系検査
血栓症の検査
2.血液凝固系の検査
11) APCレジスタンス
藤村 博信
1
,
上林 純一
2
Hironobu FUJIMURA
1
,
Jun-ichi KAMBAYASHI
2
1大阪大学医学部第二外科
2大阪大学医学部第二外科教室
pp.135-137
発行日 1996年10月30日
Published Date 1996/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903104
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はじめに
APCレジスタンスは前項で述べたように,発表当初,頻度の高さで非常に話題となった.地域や血栓症の診断基準による差はあるものの,その頻度は深部静脈血栓症患者の17.5~64%,一般正常人の2~7%にわたって存在すると報告された1~3).しかし,その原因とされる第V因子遺伝子の点突然変異が日本人では非常に少ないか,あるいは皆無であると考えられることから,日本人血栓症患者における先天性血栓性素因としてのAPCレジスタンスの測定は,当初ほどの重要性を持たされなくなったことは事実であろう.しかしある種の病態化におけるAPCレジスタンスの測定は,患者の血栓形成状態の把握に有用であるとも考えられており,初めにAPCレジスタンスの測定法を示した後,この点についても述べることにする.また,APCレジスタンスにおける第V因子の遺伝子異常の検出については別項で述べられるであろうためここでは触れない.
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