今月の表紙 表在性真菌症の臨床検査シリーズ
皮膚糸状菌症 3.分離培養と発育コロニーの形態学的特徴(続)
山口 英世
1
,
内田 勝久
1
,
楠 俊雄
2
1帝京大学医真菌研究センター
2くすのき皮膚科
pp.624-625
発行日 1996年6月15日
Published Date 1996/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902929
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白癬を引き起こすTrichophyton属菌種は,T.rubrumとT.Mentagrophytesに限られているわけではない.この2大原因菌のほかにも十指に余るヒト病原菌種が古くから記載されている.この中で,まれではあるがわが国でも分離例がみられるのがT.Verrucosum,T.violaceum,T.Violaceum,T.Tonsur-ansなどである.本号では,これらの3菌種に焦点を合わせ,コロニーの形態を中心におのおのの特徴を紹介する.
3菌種は,いずれもサブロー・グルコース寒天などの通常培地上では発育が遅いこと(T.Ver-rucosum<T.ciolaceum<T.tonsurans),しかもチアミン,イノシトールなどのビタミン添加が発育を促進すること,また新鮮分離株には27℃よりも37℃でより速やかに発育するものが多いことなど,いくつかの点で共通性を持つ.しかし発育コロニーの形態については,3菌種間に特徴的な相違を認めることができる.
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