今月の表紙 表在性真菌症の臨床検査シリーズ
皮膚系状菌症 2.分離培養と発育コロニーの形態学的特徴
山口 英世
1
,
内田 勝久
1
,
楠 俊雄
2
1帝京大学医真菌研究センター
2くすのき皮膚科
pp.498-499
発行日 1996年5月15日
Published Date 1996/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902901
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皮膚糸状菌症(白癬)は,病変が生体のどの部位に生じるかによって,足白癬,体部白癬などさらに細かく分けられる.しかし,頭部に生じる白癬(頭部白癬およびケルルス禿瘡)を除けば,あらゆる白癬の原因菌の大半は,Trichophyton rubrumおよびT. mentagrophytesの2菌種で占められる(前号参照).これら以外の原因菌種の分離頻度は桁違いに低いが,そのなかでは,Epidermophyton floccosumとMicrosporarm canisが比較的多く分離される.M. canisは本来イヌ,ネコなどの動物の白癬の主要原因菌であり,ヒトでは頭部白癬原因菌の過半数を占めるという特徴的な菌種である.
以上挙げた4菌種以外にも白癬原因菌種は多数知られているものの,これまで国内で分離例があるのはM. gypseum,T. violaceum,T. verrucosum,T. tonsuransなどに限られ,いずれも分離頻度はきわめて低い.
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