今月の表紙 表在性真菌症の臨床検査シリーズ
皮膚糸状菌症 4.顕微鏡観察による形態学的特徴
山口 英世
1
,
内田 勝久
1
1帝京大学医真菌研究センター
pp.752-753
発行日 1996年7月15日
Published Date 1996/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902960
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主要な皮膚糸状菌が菌種固有のコロニーの発育上ならびに形態上の特徴を持ち,それが菌種の鑑別や同定に役立つことはこれまで述べてきた.しかしよほど典型的な特徴を備えた菌株でない限り,それのみで菌種を確実に同定することは困難であり,菌種の確定には通常,顕微鏡レベルの形態学的特徴の観察が不可欠となる.
一般に真菌の顕微鏡的形態の最大の特徴は,無性胞子,特に分生子のサイズ,外形,表面性状,着生・配列様式などにみられる.また皮膚糸状菌などにおいては,菌糸が特殊化して生じる特殊な構造体(器官)も特徴的である.こうした顕微鏡レベルの形態学的特徴を観察するために,従来からいくつかの方法が用いられてきた.簡便な方法としては,斜面培地のヘリから試験管に沿って発育菌糸や着生分生子などを試験管のガラス越しに直接に鏡検する方法,斜面培地または平板培地上の発育コロニーの一部をかき取ってスライドグラスの上に載せ,組織針でほぐした後に鏡検する方法などがある.しかし詳細な観察を行うためには,スライド(載せガラス)培養法が最適であり,可能な限りこの方法をとることが奨められる.
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