特集 免疫組織・細胞化学検査
臓器別応用例
3.泌尿・生殖器系
1)腎臓
伊藤 信夫
1
Nobuo ITOH
1
1信州大学医学郡第1病理
pp.159-162
発行日 1995年10月30日
Published Date 1995/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902698
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はじめに
腎疾患の有病率は比較的高いが,幸いなことに,心疾患や他臓器の悪性腫瘍に比べると,腎疾患が直接の死因となることはかなり少ない.血液透析や腎移植は多くの慢性腎不全患者の社会復帰を可能にしている.
腎臓の構造は非常に複雑であるので,腎疾患もそれに見合って,奇形,代謝疾患,感染症,糸球体腎炎,血管病変,腫瘍など多種多様である.このうち,糸球体腎炎は慢性腎不全の原因の多くを占める重要な疾患であり,慢性に経過し,悪化してゆく機序に関しては不明な点も多く,いろいろな糸球体腎炎についてたくさんの研究が行われている1).糸球体腎炎の診断には,従来から,蛍光抗体法を用いた免疫グロブリンや補体の沈着の有無の検索が必須とされている.免疫組織化学の応用という点では,腎臓は先駆的臓器といえる.
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