特集 免疫組織・細胞化学検査
臓器別応用例
1.消化器系
2)消化管
中村 眞一
1
,
菅井 有
2
,
小野 貞英
1
,
新井 冨生
3
Shin-ichi NAKAMURA
1
,
Tamotsu SUGAI
2
,
Sadahide ONO
1
,
Tomio ARAI
3
1岩手医科大学医学部中央臨床検査部臨床病理部門
2岩手医科大学医学部臨床検査医学講座
3浜松医科大学病理学第一講座
pp.137-141
発行日 1995年10月30日
Published Date 1995/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902692
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はじめに
ヒトの消化管は口腔から始まり,肛門管まで,ひと続きの管状構造を取る.しかしこの管状構造は,食道,胃,十二指腸,小腸,大腸(虫垂),直腸とそれぞれ固有の機能と構造を持った器官に分けられている.これらのひと続きの器官が有機的に働き,摂取した食物から栄養素や水分を消化・吸収し,糞便として排泄する役割を担っている.また消化管には豊富なリンパ装置が分布していて,免疫監視や生体防御を営む粘膜免疫機構を有している.
消化管には各器官に特有な病変が起こる.胃や大腸には腺癌が好発するのに対して,胃と大腸の問の小腸には上皮性腫瘍はまれである.潰瘍性大腸炎では炎症は大腸に限局し,小腸まで病変が及ぶことは滅多にない.
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