特集 ホルモンと生理活性物質
各論
15.その他
3)ヒスタミン
福井 裕行
1
,
今村 育男
1
Hiroyuki FUKUI
1
,
Ikuo IMAMURA
1
1大阪大学医学部薬理学第2講座
pp.266-267
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902250
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生合成・分泌・機能
1.生合成と貯蔵
ヒスタミン(histamine)は唯一の合成酵素であるヒスチジン脱炭酸酵素(HDC)によりヒスチジンからワンステップで合成される.HDCはピリドキサールリン酸を補酵素とする.ヒスタミンはそのほとんどが肥満細胞(マスト細胞)に貯蔵される(肥満細胞性ヒスタミン).肥満細胞のHDC活性は低い.すなわち,ヒスタミン代謝回転は低い.肥満細胞のヒスタミンが遊離され枯渇することによりHDC活性は増加する.それに対して肥満細胞以外のヒスタミンは貯蔵量は低いが,HDC活性は高い.肥満細胞性ヒスタミンに対して非肥満細胞性ヒスタミンと総称する.非肥満細胞性ヒスタミンは胃粘膜ECL細胞(エンテロクロマフィン様細胞),中枢ヒスタミン神経細胞,IL-3(インターロイキン3)および4に反応する骨髄細胞,IL-1に反応する網内系細胞,増殖中の細胞(胎児細胞,癌細胞,組織の修復細胞)などに存在する.
ヒスタミン生合成の調節について,HDC酵素蛋白を直接的に修飾して活性調節を行う機構の存在は不明である.HDC遺伝子の転写調節によるHDC活性調節機構が存在する.糖質コルチコイド,サイトカイン(IL-1,3および4)は遺伝子の転写を促進しHDC活性を増加させる.
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