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VCM耐性腸球菌
平松 啓一
1
1順天堂大学細菌学教室
キーワード:
バイコマイシン
,
VCM
,
VCM耐性腸球菌
Keyword:
バイコマイシン
,
VCM
,
VCM耐性腸球菌
pp.603-604
発行日 1994年5月15日
Published Date 1994/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542901980
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1.はじめに
グラム陽性菌感染症に有効な抗菌剤として欧米を中心に用いられてきたバンコマイシン(van-comycin;VCM)は,25年にもわたって耐性菌の出ない抗生物質として貴重な存在であった.現在でも多剤耐性の黄色ブドウ球菌MRSAの治療に欠かせない切り札として重用されている.耐性菌が出にくいと考えられた理由はその作用機序により説明される.
VCMは,細菌の生存に必須の細胞壁の合成を,その構成成分であるペンタペプチドの末端部にあるD-Ala-D-Ala (Ala:アラニン)部分に結合することによって阻害する.この末端のジペプチド(2つのアミノ酸残基からなるペプチド)部分は,細胞壁合成酵素であるPBP(penicillin-bind-ing protein)が認識する部分に相当し,したがってこのジペプチドの構造が変化すれば,VCMに耐性となっても,PBPによる細胞壁合成機能も著しく阻害されるはずだと考えるのが自然である.
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