今月の主題 HCV
話題
C型肝炎ワクチンは可能か
渡辺 勇四郎
1
Yushiro WATANABE
1
1(財)佐々木研究所附属 杏雲堂平塚病院消化器科
キーワード:
C型肝炎ウイルス
,
エンベロープ抗体
,
ワクチン
Keyword:
C型肝炎ウイルス
,
エンベロープ抗体
,
ワクチン
pp.1135-1137
発行日 1993年10月15日
Published Date 1993/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542901710
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1.はじめに
永年多くの研究者によって捜し求められてきたC型肝炎ウイルス(HCV)がついに同定され,その形態や増殖様式も明らかにされないまま,遺伝子構造が決定された.さらにウイルスの構造蛋白質が合成できるようになってきた1,2).構造蛋白質はコア蛋白とエンベロープ蛋白(E1蛋白)からなる.遺伝子組換え技術を用いて合成されたコア蛋白を抗原として患者血液中の抗体を測定する方法はC型肝炎の第二世代の抗体測定法として広く使用されている.また,合成されたE1蛋白を抗原として患者血液中の抗体(E1抗体)を測定した結果,E1抗体の出現を契機にC型肝炎が治癒した症例の存在することが報告されている3).このような報告例は非常に少ないのであるが,最近,合成されたエンベロープ蛋白を用いたワクチンが動物実験で好成績を得たことが報告された.そこでC型肝炎ワクチンの可能性について考察する.
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