今月の臨床 不育症—その対策のすべて
検査・診断の進め方
16.HLAタイピングと抗HLA抗体の検出法
伊藤 巧一
1
,
柏木 登
1
Koichi Ito
1
,
Noboru Kashiwagi
1
1北里大学医学部移植免疫学教室
pp.55-58
発行日 1991年1月10日
Published Date 1991/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900269
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HLA(Human Leukocyte Antigen:ヒト白血球抗原)は,ヒトの主要組織適合性抗原であり,臓器移植はもちろんのこと,細菌やウイルスなどの外来抗原に対する免疫反応に中心的な役割を果している。妊娠も自然に成立する同種移植現象であり,当然,このHLA抗原系の示す免疫応答調節機構が重要な役割を担っていることが推測される。したがって,両親さらには胎児のHLAタイピングは,妊娠維持機構のしくみを解明する上で重要な検査項目となる。
HLAはヒト第6染色体短腕上に位置する遺伝子座によってコードされており,非常に遺伝的多型性に富んでいる1)。class ⅠのHLA-A,B,C抗原とclassⅡのHLA-DR,DQ抗原が血清学的タイピングにより検出されるのに対し,class ⅡのHLA-D,DP抗原は細胞学的タイピングにより検出される。本稿では,血清学タイピングによるHLAの検査法と妊婦血中あるいは分娩血中に含まれる抗HLA抗体の検出法について紹介する。
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