特集 電解質と微量元素の臨床検査ガイド
各論
3 ホルモン・生理活性物質
10)カルシトニン(CT)
稲葉 雅章
1
,
金尾 啓右
2
,
森井 浩世
1
Masaaki INABA
1
,
Keisuke KANAO
2
,
Hirotoshi MORII
1
1大阪市立大学医学部第二内科
2住友病院アイソトープ検査部
キーワード:
カルシトニン
,
ビタミンD
,
カルシウム
Keyword:
カルシトニン
,
ビタミンD
,
カルシウム
pp.1524-1530
発行日 1990年10月30日
Published Date 1990/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542900367
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はじめに
カルシトニン(CT)はその血中Ca低下作用で知られているが,その作用はCTの最も主要な作用とはいい難い.CTは種特異性があり,Ca低下作用が最も強力なのは,下等な脊椎動物のものである.しかし,これらの動物においてCTが血中Ca濃度の調節に働いているという明確な証拠はなく,CTの生理的な役割についてはまだ明らかではない.
CTの存在は,1961年Ca恒常性維持の研究中に見いだされた1).副甲状腺と甲状腺に血液を供給する血管の灌流実験で,高濃度のCaを含む液を灌流させると,その灌流液中に血中Ca濃度を下げる作用を持つ物質の存在が見いだされ,この物質こそが甲状腺のC細胞から分泌されるCTであった.
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