特集 電解質と微量元素の臨床検査ガイド
各論
1 生体に必要な元素
5)鉄(Fe)
宇治 義則
1
,
岡部 紘明
1
Yoshinori UJI
1
,
Hiroaki OKABE
1
1熊本大学医学部臨床検査医学講座
キーワード:
血清鉄
,
TIBC
,
UIBC
,
松原法
,
国際標準法
Keyword:
血清鉄
,
TIBC
,
UIBC
,
松原法
,
国際標準法
pp.1409-1413
発行日 1990年10月30日
Published Date 1990/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542900338
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測定の意義
正常成人の生体中に鉄(Fe)は3~5g含まれており,その60~70%は赤血球中の血色素Feであるヘモグロビンとして存在し,20~30%弱が肝臓,脾臓,骨髄などの組織にフェリチンまたはヘモジデリンとして貯蔵され,3~5%は骨格筋中のミオグロビン,約1%が金属酵素(ヘム酵素,フラビン酵素)として存在している.血清中のFeはごく微量(3~4mg,0.1%程度)であり,グロブリン分画(β1グロブリン)のトランスフェリンとすべて結合して血清Feとして血管内を流れている(図1)1).
Feの生体内での役割は酸素の運搬と貯蔵(ヘモグロビン,ミオグロビン),Feの貯蔵(フェリチンまたはヘモジデリン),臓器間のFe輸送にかかわるもの(トランスフェリン結合Fe),酵素と強固に結合し,酵素の活性発現などに関与しているもの(ヘム酵素,フラビン酵素)に大別される.
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