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新しい下痢原性大腸菌群
本田 武司
1
1大阪大学微生物病研究所
キーワード:
下痢原性大腸菌
,
Enteroadherent E.coli
,
Enteroaggregative E.coli
Keyword:
下痢原性大腸菌
,
Enteroadherent E.coli
,
Enteroaggregative E.coli
pp.843-844
発行日 1990年7月15日
Published Date 1990/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542900211
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下痢を引き起こす大腸菌は一般の常在フローラを形成する大腸菌と一部異なる特性を有し,下痢原性大腸菌(あるいは広義の病原大腸菌)と総称される(表1).これらのうち,ETEC,EIEC,EHECに分類される大腸菌については,すでに病原因子が明らかにされている(表1).
これに対し,EPECの存在はもっとも古くから知られ1955年にはEnteropathogenic E. coliと下痢原性大腸菌の中で一番早く名付けられた1)にもかかわらず,特定のO:K血清型に集積するということ以外は,病原因子の同定が遅れていた.1979年になってCraviotoらはEPECの約80%の菌株がHEp-2細胞(喉頭類上皮癌由来細胞)に付着することを報告2)し,その後の詳細な検討により,さらに"局所性"に付着するiocalized adherenceと"分散性"に付着するdiffuse adherenceの2型に大別されることが見いだされた3).前者の付着に関与する因子はEPEC adherence factor(EAF)と名付けられ,約60 MDa大のプラスミドに支配されている3).このEAFの本態としては94KDaの外膜蛋白4)や32 KDaの表層蛋白5)がいわれているが,まだ十分明らかになっていない.
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