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フローサイトメトリー(FCM)による各種細胞学的特性の測定のうち核DNA量の分布パターン,すなわちDNAプロイディパターンの分析はパラフィン包埋材料から容易に行いうるためにここ数年の間に急速に広まり,主に腫瘍細胞の検討に利用されている.近い将来FCMによるDNA型分析は研究レベルから日常の検査レベルになることが予想される.手技について成書の記載1)を補うように要点を述べると,まずパラフィンブロックの薄切から始まり,脱パラフィン,親水化,酵素処理および核の機械的分離,DNA蛍光染色,FCM測定,ヒストグラム解析の手順となる(表1,2).核浮遊液の調整はHedleyらの方法2)を改変し,核の蛍光染色はVindelφvらの方法3)を改変したものである.薄切はミクロトームを用いて50μmの厚さにすると核の破片による影響が少ない4).薄切されたスライスは核浮遊液にするので美しく切れている必要はないが,専門の技師は経験のない厚さでかえってとまどうかも知れない.
また組織所見再確認のため染色標本も作成しておくとよい.薄切量は小指頭大の面積が切れれば測定可能であるが壊死や細胞融解などの存在で有効面積が減少している場合や正常組織が多く含まれている場合には薄切数を増やしたり予め正常部分をトリミングしたりすることも必要である.したがって既存の染色標本がある場合には必ず事前に確認しておく.薄切したスライスは1週間以内に測定しているが,3~4週間経ったものでも得られるヒストグラムの質に差は認めなかった.しかし,カビが生えたり腐敗や変質する可能性もない訳ではないので早目に測定したほうがよいであろう.脱パラフィンは薄切したスライスを10 mlくらいのガラス試験管に入れ,キシレンを3ml加えてボルテックスミックスし10分間程静置,上清吸引除去後再びキシレン3mlを加え同様にする
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