リレーエッセイ 私のこだわり・1【新連載】
感染対策の門番として微生物検査で地域医療圏を守る
原 祐樹
1,2
1日赤愛知医療センター名古屋第二病院微生物遺伝子検査課
2日赤愛知医療センター名古屋第二病院成分分析課
pp.656-657
発行日 2024年5月15日
Published Date 2024/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542203627
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自身の無力・無知を痛感した日
2015年,日赤愛知医療センター名古屋第二病院(以下,当院)において海外から持ち込まれた多剤耐性菌によるアウトブレイク事案1)を経験したが,これがその後の私自身のキャリアを方向付ける大きな事案となった.当時,微生物検査に配属されて7年が経過し,日常検査は当然のことながら感染対策チーム内でも頼りにされる機会も徐々に増えてきていた.さらに同年には認定資格を取得し,認定臨床微生物検査技師として順調にキャリアを形成していた.そうしたなかで,これまで出合ったことのない多剤耐性菌〔バンコマイシン耐性腸球菌,カルバペネム分解酵素(Klebsiella pneumoniae carbapenemase:KPC)産生Klebsiella pneumoniae,OXA-23産生Acinetobacter baumannii〕に対して全く歯が立たず,その多剤耐性菌が数日のうちに院内伝播を起こし,病棟閉鎖になるという事案が発生し,これまで築いてきた自信が砂上の楼閣であったと痛感させられた.この出来事を契機に感染対策の門番として自施設の耐性菌検査技術を高めることが必須であると考えるようになった.
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