研究
大学病院の医療圏
中村 賢
1
1北里大学医学部医療社会学
pp.797-808
発行日 1975年11月15日
Published Date 1975/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205107
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I.緒論
地域療医に関する研究の多くは地域医療のシステムに向けられており,それを展開する場についての研究は少ない.現在地域医療の場の単位として考えられているのは,地域医療の概念を提唱した日本医師会による地域医師会単位と,その後これを模倣した厚生省による県・市町村・保健所および広域市町村圏1)の行政単位である.地域・生活圏等を考慮しながらこれを実際に分析しているのは,倉田2)による通勤通学圏と積雪状況からみた,地域医療の場に関する検討・報告のみである.
医療圏の構成については,その基本となる医療の展開の仕組みを明確にする必要がある.医療については,日本医師会医療総合対策3)において,その概念が定義づけられている.すなわち「包括医療の概念は健康の破綻に限らず,ポジティブ・ヘルスというところに重点をおいて,生まれる前から死亡するまでのあらゆる人間と社会との接触面を包括し,一貫して健康度の増進をはかるのである.
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