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免疫・輸血
リウマトイド因子と抗CCP抗体の比較は,今はどうなっていますか?
本島 新司
1
,
中下 珠緒
1
1湘南藤沢徳洲会病院リウマチ・膠原病・アレルギー科
pp.388-389
発行日 2021年4月15日
Published Date 2021/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542202650
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リウマチ因子(RF)は1940年代に発見され,1958年に米国のRA(rheumatoid arthritis.関節リウマチ)分類基準に入れられた.しかし,長年,診断などに使用されているにもかかわらず,RFの産生機序やRA発症への関与機序はよくわかっていない1).一方,抗シトルリン化ペプチド抗体(ACPA.抗CCP抗体として臨床で測定する)は1990年代にその存在が明確になった.ACPAに関しては,その産生機序,ヒト白血球抗原(HLA)との関係,関節炎発症に対する関与が研究され,RA発症に非常に重要な役割を果たしていると考えられている1).
それでは,RF測定はどうでもよいか,といわれると,そうではなく,2010年RAの新分類基準(表1)2)でも同等の扱いになっている.理由は,RAにおける感度(陽性率)がほとんど同じであるからである(表2)3,4).しかし,特異度は異なり,RFは85%程度,抗CCP抗体は95%程度である1).そのため,RF陽性ではRA以外の疾患がないか注意すべきである.疾患のない若年者ではRF陽性は5%以下であるが,70歳では25%という報告もある4).変形性膝関節症の75歳高齢者にRFは1/4に陽性になる可能性があり,RAと診断されてしまう可能性があるので注意が必要である.RFも抗CCP抗体もcut-off pointを上げると特異度は上がるが,感度が低下する.
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