検査説明Q&A・37
ESBLやCREが問題となっていますが,薬剤感受性検査でどのようなときにこれらの耐性菌を疑ったらよいのでしょうか?
河口 豊
1
1川崎医科大学附属病院中央検査部
pp.862-866
発行日 2018年7月15日
Published Date 2018/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542201682
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■はじめに
基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(extended-spectrum β-lactamase:ESBL)は,ペニシリン系薬,第一〜四世代セファロスポリン系薬およびモノバクタム系薬を分解することができる酵素です.ESBL産生菌は大腸菌や肺炎桿菌に多く,その割合は年次的に増加しています.2016年の厚生労働省院内感染対策サーベイランス事業(Japan Nosocomial Infections Surveillance:JANIS)によると,それらの割合はセフォタキシムの感受性からそれぞれ26.0%および8.9%と推計されています1).
一方,近年,腸内細菌科の細菌において,カルバペネム系薬にも耐性を示す株が散見されるようになり,臨床上問題になっています.これらはカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(carbapenem-resistant Enterobacteriaceae:CRE)と呼ばれ,CREのなかでも特にカルバペネム系薬を分解してしまう酵素カルバペネマーゼを産生するものをCPE(carbapenemase-producing Enterobacteriaceae)と呼んでいます.
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