増刊号 疾患・病態を理解する—尿沈渣レファレンスブック
Ⅶ 全身性疾患
高血圧
中野 志仁
1
,
有馬 秀二
1
1近畿大学医学部腎臓内科
pp.538-540
発行日 2018年4月15日
Published Date 2018/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542201593
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病態
血液を全身に循環させるために心臓は血液に高い圧力をかけて動脈に送り出しているが,血圧とはその圧力によって血管壁が内側から押される力のことで,心臓から送り出される血液の量(心拍出量)と血管の硬さ(血管抵抗)によって決定される.高血圧では動脈壁に高い圧力がかかり続けることで動脈硬化が惹起され,心筋梗塞や心不全を含む心血管疾患のリスクが増大する.実際,“健康日本21”では,日本人男性では収縮期血圧が10mmHg上昇すると,冠動脈疾患の罹患・死亡のリスクは約15%増加すると報告されている.したがって,心血管疾患の発症予防ならびに進展・再発予防に高血圧の管理は極めて重要であるが,高血圧は自覚症状に乏しい疾患であるため病識に欠けやすく,未治療者が多いのが問題である.さらに,降圧治療を受けている患者でも,その約半数は管理不十分と推測されている1).
このようにわが国における高血圧管理はいまだ不十分であり,高血圧管理の改善,さらには国民の血圧水準そのものを低下させるような環境整備が必要と考えられている.
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