増刊号 疾患・病態を理解する—尿沈渣レファレンスブック
Ⅵ 泌尿器疾患
疾患と尿沈渣成分 ③その他
膀胱損傷
福原 秀雄
1
,
井上 啓史
1
1高知大学医学部泌尿器科学教室
pp.536-537
発行日 2018年4月15日
Published Date 2018/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542201592
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病態
膀胱損傷は原因により自然破裂と外傷性破裂に大別される.自然破裂の発生はまれであり,外傷性破裂で発生する場合が多い1).自然破裂が発生する場合は,尿路感染,膀胱腫瘍,膀胱憩室,放射線治療後,長期カテーテル留置,薬剤などによる膀胱壁自体の障害や尿流障害が原因として考えられている.そのほか,限局する硬結,膀胱壁の過伸展,膀胱内圧上昇による膀胱壁の部分的な血流障害により穿孔が誘発されると考えられている.
外傷性破裂の原因としては,鈍的損傷・鋭的損傷・医原性損傷がある.鈍的損傷は骨盤骨折に伴う場合が多く,70〜95%で骨盤骨折の合併を認める.医原性損傷としては,骨盤内の婦人科領域や泌尿器科領域の開腹手術・腹腔鏡手術に伴う術中損傷がある.婦人科関連手術が52%,泌尿器科関連手術が39%,一般外科手術関連が9%とされている2).
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