今月の特集 ISO 15189取得簡易マニュアル
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山内 一由
1
1筑波大学医学医療系
pp.579
発行日 2017年5月15日
Published Date 2017/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542201252
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臨床検査室の使命は診療に役立つデータを迅速に提供することにあります.臨床検査に携わる者であれば誰もが心得ている基本中の基本ですが,この使命を全うしていくのはたやすいことではありません.決して華やかとはいえない努力の積み重ねと,それを促す十分かつ具体的な動機付けが必要です.加えて,某自治体の長であった人が連呼していた“第三者の厳しい目”も欠かせません.
そう考えると,ISO 15189の意義は極めて明確です.にもかかわらず,これまで取得施設数が思った以上に増えなかったのは,地道な努力に対するインセンティブが与えられてこなかったからです.使命感と緊張感だけでは努力の継続は困難ですし,ましてや発展につなげることなどはとても期待できません.
2016年度の診療報酬改定における“国際標準検査管理加算”の新設は画期的であったといえます.それは,取得施設のモチベーション維持と経営的メリットという単純な理由だけではありません.わが国における臨床検査の全体的な底上げを通じて国際的にも十分に通用する臨床検査室を構築しようという,ISO 15189本来の目的を達成しうる環境がようやく整ったからです.
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