検査レポート作成指南・17
尿沈渣検査編
油野 友二
1
1北陸大学新学部設置準備室
pp.76-85
発行日 2017年1月15日
Published Date 2017/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542201085
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尿一般検査は歴史のある臨床検査であるが,今日でも腎尿路系疾患のスクリーニング検査として重要な位置付けである.その主な臨床的意義は5つの尿異常の検出にある.すなわち,①膿尿,②細菌尿,③血尿,④蛋白尿,⑤代謝異常尿(結晶尿,糖尿その他)を見逃しなく検出することである.尿沈渣検査は尿異常を検出するための形態学的検査として位置付けられ,尿中の有形成分である上皮細胞類,血球類,円柱類,結晶・塩類,細菌類についてそれぞれ正確に分類と概数計測することで,尿定性所見と組み合わせて尿異常を示す病態の推定情報を提供している1).
尿一般検査の多くは外来受診時の迅速検査であり,一般的にその結果はオンラインで報告されている.その場合は,字数制限から十分に検査側の意図を伝えられないこともあり,より臨床的意義の高い例などでは電話連絡の後に別途,尿沈渣検査レポートが作成され報告されていると考える.臨床医は尿沈渣成分の詳細な形態やその意義について十分に教育されていない世代も多く,検査部からのレポートはその症例における重要性のみならず教育的意義も高いといえる.
本稿では,どのような場合に尿沈渣検査レポートが必要であり,その記載はどのようなものが望ましいかについて指南する.
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