増刊号 心電図が臨床につながる本。
Ⅳ章 症状からみた心電図
失神の既往
河野 律子
1
,
安部 治彦
1
1産業医科大学医学部不整脈先端治療学
pp.1301-1305
発行日 2016年10月30日
Published Date 2016/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542200999
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失神の概要
意識消失発作とは
患者は発作時の状況を,“気を失った”,“貧血を起こした”,“倒れた”,“めまいがした”などと,さまざまに表現する.意識消失発作を主訴に患者が来院した際は,意識消失が一過性であるか否か,急性(突然)発症か否か,意識消失は自然に速やかに回復したか否か,を確認し,一過性意識消失であることを確認する必要がある1).単なる意識消失には,糖尿病性昏睡,薬物中毒,高齢者の単なる転倒,などが含まれている場合がある.
受診時に一過性意識消失発作を主訴に患者が来院した場合であっても,本当に一過性意識消失発作であるのかを確認しておくことが重要である.一過性意識消失発作と判断されれば,次に外傷による脳震蘯などの明らかな二次的要因を除外したうえで,失神やてんかん,その他の原因(心因性,ヒステリーなど)との鑑別を行う.失神とてんかんは臨床症状が似ているため,鑑別はしばしば容易ではない.
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