増刊号 心電図が臨床につながる本。
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抗凝固薬の現状と今後の課題
鈴木 信也
1
1公益財団法人心臓血管研究所付属病院循環器内科
pp.1221-1224
発行日 2016年10月30日
Published Date 2016/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542200986
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Point
●複数の経口抗凝固薬が選択できる時代を迎えた.従来のワルファリン時代は,プロトロンビン時間-国際標準化比(PT-INR)を指標とした用量調整が可能である一方で,薬剤選択の自由はなかった.新しく登場した経口抗凝固薬(DOAC)は用量調整が不要であり簡便に使用できるとともに,4種類を使用することが可能となり,ワルファリンと合わせて5つの経口抗凝固薬から選択可能となった.
●DOAC登場による抗凝固療法の変化を心研データベースを例にしてみてみると,①低リスク患者を中心とした投与率の上昇,②脳梗塞発生率の低下傾向,③大出血(頭蓋外出血)の増加傾向,が特徴として挙げられる.高リスク患者はワルファリン中心の投与となっており,脳梗塞や大出血の発生率に明らかな改善はもたらされなかった.
●DOAC時代の問題点として,固定用量であるが故に投与後の血中濃度を調整する自由がないことと,アドヒアランスを確認する確立された手段がないことが挙げられる.今後のDOAC使用に際しては,①高リスク患者への投与,②脳梗塞発生率の低下傾向を維持しつつ大出血(頭蓋外出血)を増やさない,という2点が課題となる.
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