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年度末の3月,会計の締め切り,各種契約の更新,人事異動と,読者の皆さまにおかれましては,年末とはまた異なる忙しさのなかにいらっしゃることと推察しています.と書き始めましたが,実は,このあとがきを書かせていただいているのは,2015年の師走も押し迫った,何かと気忙しい時期なのです.毎朝の散歩で立ち寄る東京赤坂は氷川町の神社に門松が飾られ,残る年内の行事は大みそかの年越しの大祓式と除夜祭を残すのみとなっていて,お正月の伝統行事に向けて,着々と準備が進められています.前述の神社の本殿の入り口に飾られる松飾りですが,よくみられる,竹と松としめ縄で形よく作られたオーソドックスなものではなく,直径が10cm以上,高さ5mはあろうかという,大きな松の枝木なのです.これを左右に1本ずつ,植木屋さんが地面に直接穴を掘って立ち上げ,しめ縄で飾り付けます.何ともシンプルかつダイナミックな門松なのです.
最近は一般の家で門松を飾ることは少なくなってはきましたが,そもそも門松は,新年の神様である“歳神様”を迎えるための目印(降臨の場所)です.古くから木のこずえに神様が宿るという風に考えられていましたが,神様が宿ると思われてきた常盤木のなかも,松は“祀る”につながる樹木であることや,古来の中国でも生命力,不老長寿,繁栄の象徴とされてきたことなどもあって,わが国でも松をおめでたい樹として,正月の門松に飾る習慣となって根付いていったといわれています.28日までに飾るか,30日がよいとされているので(29日は“二重苦”,31日は“一日飾り”といわれ,縁起が悪いと考えられています),わが家でもそろそろ松飾りの準備をしなければと,少々焦っているところです.
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