寄生虫屋が語るよもやま話・2
ママ友ネットワークが救った生命—重症マラリア
太田 伸生
1
1東京医科歯科大学大学院・国際環境寄生虫病学分野
pp.234-235
発行日 2016年2月15日
Published Date 2016/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542200711
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卒業旅行という風潮はいつ頃からのことであろうか.少なくとも筆者の年代にはなかったことである.
さて,北日本の某有名大学を卒業した青年2人が南国タイに卒業旅行を楽しんだ後のマラリアの話である.最近ではインターネットによる情報取得が簡単になり,海外旅行に伴う危険情報も事前に得て出掛ける人も多くなったが,今回の話はまだインターネット時代のはしりの頃のことである.マラリアについては今日ほどに情報は多くなかった.ましてや彼らは工学系の学生で,熱帯医学にさほどの関心はなかったであろう.バンコク,パタヤ,アユタヤなどを回る旅行を満喫して無事に帰国した彼らは,4月からの社会人生活に備えてそれぞれの出身地に戻った.家族,恋人に土産を渡し,楽しかった旅の思い出を語って聞かせたことであろう.
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