寄生虫屋が語るよもやま話・1【新連載】
大胆なるかな,アングロサクソン人!—アフリカで住血吸虫に感染した日本人少女の話
太田 伸生
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1東京医科歯科大学大学院・国際環境寄生虫病学分野
pp.106-107
発行日 2016年1月15日
Published Date 2016/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542200685
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筆者は大学の医学部で寄生虫病学の研究・教育をなりわいとしている.国内の医学部では寄生虫学を講じる研究室が減り,必然的に同業者も減ってきた.しかし,世界では寄生虫感染者が数十億人を数え,日本国内でも一定数の感染者が毎年発生している.その結果,数少ない生き残り同業者に臨床現場から寄生虫病の診断依頼が飛び込むことが多くなっている.寄生虫は巧妙に人間と同居するすべを獲得した連中であり,感染のエピソードも相当に人間臭い場合がある.私たちは臨床家から病歴を聞いて,診断の対象となる方々の生きざまをひそかに想像しながら業務に当たっている.寄生虫を通じて人間の悲喜こもごもまでもみえるような気がするのである.本連載では,そんな寄生虫屋の経験を紹介し,読者の方々にも寄生虫病という人間臭い感染症について共感いただけたらと思っている.
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