Japanese
English
今月の特集2 血液細胞形態判読の極意
末梢血液像の観察ポイント
Point of observation in hemogram
阿南 建一
1
1福岡大学医学部腫瘍・血液・感染症内科学
キーワード:
末梢血液像の鏡検法
,
局所の構築破綻
,
形態異常
,
緊急度
,
アーティファクト
Keyword:
末梢血液像の鏡検法
,
局所の構築破綻
,
形態異常
,
緊急度
,
アーティファクト
pp.664-671
発行日 2015年7月15日
Published Date 2015/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542200363
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
Point
●末梢血液像の観察のポイントは,造血三血球の正常分化・成熟過程を習得したうえで,末梢血の正常構築を担う細胞を認識することから始まる.血液標本の作製には人為的手法と機械法があり,双方ともに薄層塗抹法(ウェッジ法またはそれに準ずるもの)で作製され,細胞の判読および同定には“きれいな塗抹と華麗な染色”が求められる.実際の光学顕微鏡観察では低倍率,中倍率,高倍率を巧みに操り,正常細胞はもとより異常細胞を見逃さないようにする.
●形態異常とは,血球の分化・成熟障害や諸因子による局所の正常構築の破綻に伴って出現する異常細胞のことであり,そこには異形成(dysplasia)と異型性(atypia)所見を呈する細胞の出現が予測される.異常細胞とは,見逃してはならない細胞,すなわちパニック細胞であり,その緊急度は高い.それらについては,形態異常に加えて機能異常も模索しながら,関連する血液疾患を考慮して臨床へ報告すべきである.
●アーティファクト(人工産物)は,血球計測値や細胞同定に影響を与えることから,その原因を認識したうえで回避法に努めることが重要である.多くは採血行為や抗凝固剤によるものであるが,患者自体に問題がある場合もあり,形態診断においてはピットフォール(落とし穴)にもなりうるので,十分に注意する.
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.