遺伝医療ってなに?・4
GATTACAの現実
櫻井 晃洋
1
1札幌医科大学医学部遺伝医学
pp.374-375
発行日 2015年4月15日
Published Date 2015/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542200294
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遺伝を専門とする医師はやはり産婦人科医,小児科医が多いが,筆者はもともとこの世界ではマイノリティーといえる内分泌内科医である.日常での遺伝外来診療も周産期や小児期疾患はその領域の医師に依頼し,自分は遺伝性腫瘍をはじめとした成人疾患を担当することが多い.そんな筆者が半分素人,半分スペシャリストの視点で出生前診断を考えてみる.
1997年封切りの“GATTACA”という米国映画で描かれているのは受精卵の選択によって生まれてきた“適正者”と自然な出産で生まれた“(欠陥をもつ)不適正者”という社会階層ができている近未来の世界である.つまりこの映画の世界では,現在生きているわれわれは全て“不適正者”ということになる.“不適正者”として生まれ,誕生時のゲノム解析から推定寿命30歳と宣告された主人公が“適正者”にしか許されない職業をめざし,事故にあった“適正者”から生体情報を買い取って本人になりすます.この“適正者”の事故の経緯も彼が住む家の階段のフォルムも非常に象徴的なものだがそれを書くことは自重しよう.興味のある方は明日にでもレンタルDVD店へどうぞ.
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