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書評 顕微鏡検査ハンドブック
渡辺 彰
1
1東北大加齢医学研究所・抗感染症薬開発寄附研究部門
pp.1502
発行日 2012年12月15日
Published Date 2012/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542103297
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臨床医学に大きく役立つ顕微鏡検査のすべてがここにある! これが私の第一印象である.本書は微生物検査だけでなく,細胞診,血液像,尿沈渣,病理などの顕微鏡検査法があまねく,しかも互いに連携を保って網羅・解説されており,これが本書の最大の特色である.すなわち,横断的な編集であり,しかも各分野が有機的に連携されていて,統一した視点から編集されている.今日の臨床医学に最も欠けている部分は本書によって埋められるものと考える.
これまでは,そうではなかった! 病院や検査センターにおける顕微鏡検査は,各分野に分かれて行われており,互いの連絡や接触は希薄であった.臨床検査法の教科書も同様であった.すなわち,縦割りの検査が行われており,教科書も縦割りだったのである.皆がたこ壺にこもっているので,互いの様子は互いによくわからない.たこつぼから臨床へ有用な情報を発信することはできるだろうか? できるわけはなく,これが今日の臨床検査・臨床医学の大きな欠陥となっていたが,本書はその欠陥を埋める良いハンドブックとなっている.編者の先生方の力量に負うところが極めて大きいが,わが国の微生物検査に携わる医師と臨床検査技師の中で,本書の編集代表である菅野治重先生を知らない人はいない.
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